[レンガ倉庫レポ。 vol.03]
 

 仕事に行くよりも早起きをして、倉庫を目指して一直線。朝の白い光に目を細めながら、車を走らせていました。夕べはちょっと眠れませんでした。なぜナラ!2002年6月1日。ナラヒロ・ボランティアスタッフにとって、記念すべき日。カ〜ラヂオでは、「電波の日」と言ってたけど、私にとっては「ナラボラデビュ〜の日」なのです。
 夕べは、わざとらしい演出のような雷と大雨だったのに、今朝はやわらかな太陽が、レンガ倉庫に影をつくり出していました。青葉の色とレンガ色のコントラストが、何といってもヨ〜ロピア〜ンで、軒下のフキもしゃきっと伸びて、1ケ月前に来た時とは、また違う表情をしていました。
 倉庫は私達ボランティアスタッフを歓迎してくれるかな〜?ちょっと心配もしてみたけど、倉庫の入り口で、スタッフのみんなが、さわやかな笑顔でおしゃべりしるのを遠くから見て、私も気持ちがふわっと軽〜くなりました。
 
 今日のために集まってくれたボランティアスタッフさんたちは、倉庫の中や周りをうろうろ、キョロキョロ。うろうろキョロキョロ。わかる!わかります!!その気持ち。ちょっと、倉庫を知っている私は、初めてレンガ倉庫を見た時の私と同じ感動を味わっている(であろう)同士を、「でしょ〜?」という笑みをうかべて眺めていました。
 登録のIDを首から下げて、軍手を手に、はじめの仕事は倉庫見学ツア〜!前田さんの説明に聞き入りながらも、左右上下にきょろきょろ。壁をさわったり、カメラを構えたり。ちょっと涼しい空気に腕をさすったり。展示会場のイメ〜ジよりも、まずは倉庫の空気を全身で感じているようでした。
 ツア〜の後は、「すす払い組」と「壁板塗り組」に分かれて作業をしました。「すす払い組」は、倉庫の中で、真っ白くなって見えなくなりそうなホコリにやられながら。「壁板塗り組」は外で、真っ黒いペンキとだんだんと強くなる陽射しにやられながら、なぜか幸せそうな笑顔で作業を進めていました。会ったばかりの人たちなのに、無言のチ〜ムワ〜ク、以心伝心の手際よさで。おそるべし、ナラボラ!!
すす払い作業中に、昔の壁の塗料が浮いているのが発見されました。それは危ないということで、わざとはがすことになりました。私は、木の棒やカナヅチで叩いて剥がされていくのを眺めていましたが、大きな音を立てて、白い粉塵とともにガラガラと壁がはがれ落ちていく様子に、壊れていくものに対する寂しさ、虚しさを感じました。それと同時に、みるみると現れてくる、時代を越えたレンガの壁!!これは一大スペクタクルです!誕生の瞬間!!まさに、殻を破ったレンガ倉庫です。「ここにおるんだぞ〜!」というレンガ倉庫の自己主張に、頭が下がる思いでした。
はがれた壁には、長年のレンガの色と形が染み付いていて、ナラボラの記念碑として、もちろんTakeout! 
 お昼は、木陰にブル〜シ〜トを敷いて、遠足のようにおにぎりを食べました。黒ペンキのとれない手で食べる人あり、アタマに白いホコリをのせた人あり。それなのに、笑顔笑顔!おそるべし、ナラボラ!!
吉井さんからは、仕事はじめ祝の「お赤飯」がふるまわれました。大人の世界のお心づかいにじ〜んとしながら、倉庫での安全と展覧会の成功を噛みしめるのでした。
午後の作業が、暑い陽射しにバテぎみなころ、奈良家さんからのリンゴジュ〜スの差し入れや、リンゴの差し入れにまたまた復活!!
初日ナラボラの作業は、順調に、いや予想以上にはかどったようです。
ナラボラは満足げな笑顔を浮かべて、「ボランティアの声」をノ〜トに綴って、倉庫を去ってゆきました。それを見送るレンガ倉庫は、西からさす日に照らされて何かもの言いたげでした。
 タイムカプセルのように時間を閉じ込め、口を閉ざしていた倉庫が、ちょっとずつ私達に語りかけているような気がして〜。
 本当に記念すべき幸せな一日でした。レンガ倉庫に感謝!

 遠くで見守ってくださっている方々に、お土産を。「倉庫に潜む小物たち」です。 

(オフ会小野)