[レンガ倉庫レポ。 vol.02]
 
 弘前の空気はほんわかあったかくて、青森市から出ていった私は、厚ぼったいブルゾンが、ちょっと季節はずれに感じました。

 前回の探訪から1ケ月。レンガ倉庫に熱い想いを寄せる人たちが、またまた集まりました。
遠くで奈良展を見守ってくださる方々のために、2回目のレポは、少し落ち着いていきたいと思います。

 倉庫の軒下の雪はすっかり消えて、しだれ桜の花芽がすこ〜しふくらんでいました。倉庫の中は…やっぱり涼しい!
厚ぼったいブルゾンに感謝して、暗がりに慣れるまで、バシバシ瞬き。

 この1ケ月の間に、奈良さんご本人が倉庫を訪れ、おおまかな会場レイアウトはできていました。奈良フォントの書き込みがある会場図面は、じっくり見て、だいぶ頭にはいっていたので、まずは順路どおり進むことにしました。
  
 アプロ〜チとなる廊下の、高い煉瓦の壁に圧迫感を感じながら、久しぶりに会った人と接するように、ちょっと緊張して歩きました。アプロ〜チの長さもあってか、メイン会場に入ると、「抜けた!」という感覚。やっぱりはしゃぎたくなるのです。壁をも走って昇れそうな開放感!!我を忘れて、へんなポ〜ズの写真をとってしまいました。(暗すぎて心霊写真になっているのがオチですが…)

  ふと、奈良さんの言葉を思い出しました。
「建物のダイナミズムを消さずに、自分の作品をどう見せたらいいかが難しい」
…そうですよね。
 この、はしゃぎたくなるような開放感を壊さずに、作品に意識を向けるような展示。奈良さんの一生懸命な姿を想い、じぃぃぃ…ん。一緒に歩いていた、三浦さんと三戸さんが「なつかしい〜!この匂い。好き〜。」と言って大きく息を吸い込んでいました。ほこりとカビのまじった匂い。でもそれがまた、なぜか懐かしい。きっとどこかで、一度はかいだことのある匂い…。あ。私は、息を浅くしてそこを抜けました。

  階段の前を通り過ぎ、振り返ると、向うの会場を歩く人が、入り口に枠どられ、柱の電球に照らされて、映画の1シ〜ン(ライムライト?)のように見えました。
 右側の部屋、水色のタイルの部屋は、とても声が響きます。
「富士山を描きたい」「銭湯じゃないって」「一曲歌いたい」
「エコ〜かかっていいね〜」とか何とか三浦さんと言いながら、足をトントン踏みならしていたら、真ん中あたりが、ポヨンポヨン♪という不思議な音がして、びっくり。ポヨンポヨン♪♪…空洞? 壁のヒビを横目に見て、「ここに白いペンキ塗らなきゃね」と現実的になってきた会場造りにプレッシャ〜を感じつつ、部屋を出ました。

 倉庫南には窓が4つぐらいあって、日よけの扉が開け放され、傾いた光が差し込んでいました。映画館から出た時のようなすっきりとした感じで、ツア〜(?)を終えました。
 
 もっともっと、皆さんに伝えたいことがあるのですが、ここで、会場のディテ〜ルをたくさんレポしてしまうと、当日のお楽しみがなくなってしまうので、会場に関してはこのへんで…。
 
 2回目ともあって、足取り軽く2階に上がったのですが、三浦さんの「きゃ!」という声に私も「ぎゃ!」。三浦さんが一段低くなっていたので、埋まったのかとびっくり!!段差に足をとられただけみたいで、よかったよかった。 黄砂の影響か、窓ガラスがくもっていました。(このガラスも、ビ〜ドロとでもよびたくなるような、手作りっぽいものなんですよ。)

  中庭をみると、雪がたくさん残っていて、ネコヤナギが芽を出していました。
 時代も季節もどっかに忘れてしまいそうな感覚に捕われながら、遠くの高いビルを眺めていました。
 グッズ&カフェの倉庫は、酒造時代のお宝がいっぱい。
博物館資料になりそうなものばかりです。
事務室の中には、現代にないデザインの丸いテ〜ブルがありました。ナチュラルな明るい色の木製で、ふと〜い一本の足がついたテ〜ブルです。それから、電球のスイッチ。それからそれから、研究室の秘密の小部屋…。
 今後「レンガ倉庫に潜む小物たち」も写真で紹介していけたらな〜、と考えています。
 
 倉庫の周りを写真におさめているうち、ひとり、ふたりと去っていきました。
最後に、三浦さんと一緒に、吉井さんにご挨拶をして、お見送り。まとめ髪に、オシャレなスニ〜カ〜、レスポのポ〜チをさりげなく抱え、さっそうと歩く姿がとても素敵でした。

 長い年月、この地に根をおろしていた倉庫は、建物というよりは植物、大木のように感じました。吉井さんがおっしゃっていたように、きっと、何か「お告げ」をしてくれるような気がします。
 車に戻ると、倉庫の軒下にたくさんのフキノトウが!!潰さなくてよかった…、とロボット兵(ラピュタ)の気持ちになりながら、来年もちゃんと芽をだしてね、とレンガ倉庫を後にしました。

  次は、桜の花が見れるかな。

(小野@オフ会)